アマゾンKindle読み放題サービスのビジネスモデルが破綻?

報道によると、アマゾンが最近始めたばかりのKindle定額読み放題サービスから、人気の書籍を外すことを始めたそうです。定額読み放題サービスは、月額定額の課金で、登録されている本をどれだけでも読めるサービスですが、ビジネスモデルにほころびが出たようです。
このサービスはユーザーが払うのは定額ですから、「ユーザーの数X定額料金」以上の収入は見込めません。総額ではもちろんものすごい金額になるはずですが、当然コンテンツ提供側への支払いもあります。これがどうやら定額制ではなく、ダウンロードされた数(読まれた数)に応じて出版社に支払われる契約だったようです。しかも、人気の本にはプレミアムが付けてあったとか。もちろん人気の本が相当数なくては、定額料金を支払うユーザーが増えませんから、これはこれで納得できること。
ところが、報道によるとアマゾンが出版社に支払う資金が底を突き、人気本をラインアップから外したとか。人気本のダウンロード数が予想以上で出版社への支払いが過大となり、これ以上続けると赤字になる、と判断したのでしょうね。
通常の販売であれば、ユーザーが購入した代金の何割かが出版社へ支払われる契約ですから、資金が不足するということはまずありません。アマゾンの収入と支出は必ず比例するからです。ところが定額サービスは、アマゾンの収入と支出が比例していませんから、今度のようなほころびが出てしまったのでしょう。アマゾンのようなビジネス巧者であっても、予測ができず計算違いが起きるものなのですね。

小論文・レポートの書き方 パラグラフ・ライティングとアウトラインを鍛える演習帳

小論文・レポートの書き方 パラグラフ・ライティングとアウトラインを鍛える演習帳 (人の森の本)」という本を出版しましたが、アマゾンでの販売を開始したところ、平均して毎日一冊ずつ売れています。

この本、書店への流通は全くしておらず、自社サイトとアマゾンでの販売のみです。

アマゾンでの販売は「アマゾンe託販売サービス」というものを使っています。「アマゾンe託販売サービス」はISBNさえ取得していれば、自費出版本でも販売することが可能です。

ただし、出版社の利益は6掛けしかなりません。つまり、2千円の本を出品したら、売れた時の収益は1200円。アマゾンまで送る費用も掛かりますから、実際の利益はさらに小さくなります。

これが何を意味するかと言うと、本の製作費を抑えない限り、「アマゾンe託販売サービス」を使っての利益確保は難しい、ということです。製作費の高い重い本を作ると、製作費や送料がかさみます。「アマゾンe託販売サービス」から「何冊納入せよ」という指示が来ますが、下手をすると「一冊送れ」と言われてしまいます。一冊ずつ送っていたら、送料もばかになりません。

幸い「小論文・レポートの書き方 パラグラフ・ライティングとアウトラインを鍛える演習帳」は比較的薄い本で、納入も5冊ずつとかまとめてできていますから、採算ラインよりは上で、出品してから1か月間推移することができました。

「アマゾンe託販売サービス」は便利な機能ではありますが、気を付けないと利益を確保することは困難になりますね。

国立国会図書館で著者名検索

先日、自社から出版した「小論文・レポートの書き方」の本が国立国会図書館で登録されたかどうか調べるため、国立国会図書館のサイトで著者名で検索をかけてみました。

http://iss.ndl.go.jp/books…

すると、思ってもいなかった過去に専門誌に投稿した記事まで検索結果に表示されました。一方で、共著の本は一冊を除き表示されません。

どうやら、単行本などは表紙に著者、訳者、編者などとして名前がない限り検索結果には出ないのが原則で、論文や記事などは掲載された雑誌単位ではなく、論文・記事単位でデータが収録されているようです。一方、今はやりの電子書籍は一つも登録されておらず。

国立国会図書館のデータベースは、いわば日本の本のデータベースと言って良く、そのデータは書店や本の流通にも使われています。著者名が検索結果に出るかどうかはとても重要ですから、今後の本作りの参考にしようと思います。

紙の本と電子書籍のどちらで出版?

自分で書いたものを出版しようとする時、現在であれば旧来の紙の本にすることもできますし、Kindleや楽天KOBOのようなサービスを利用して電子書籍として出版することも可能です。さらに、WEBで発表してしまうというのも手段としてはありですが、WEBだと「出版した」という実感がつかめないのでとりあえずは外しておいて、紙の本か電子書籍かを考えたいと思います。

まず、私は幾冊かの著書や翻訳書があり、紙の本のコンテンツを作った経験があります。さらに会社として本のブログに書いたように、依頼を受けた自費出版本の編集を行い、アマゾンでの販売にこぎつけました。

さらに、小論文・レポートの書き方ガイド電子ブック版など10種類以上の電子書籍をアマゾンのKindle等電子書店でも販売しています。

つまり、紙の書籍も作り、電子書籍も作って販売しているわけです。それぞれが特徴を持っており、一概に「どちらの出版を目指すのが良いか」は言えませんが、比較してみたいと思います。ただし以下に書くのは、本職の作家さんの話ではなく、自分の文章を世に出してみたい、という程度の人の場合のことです。

本を作る喜び

「自分の本ができた」という喜びは、これは電子書籍ではほとんど得られません。「できた!」という感動。手に持った時の感触、重み。そして人に見て貰えるという実感、買ってもらう時だけでなく、だれかに手渡す時にも喜びを感じるものです。

世間の評価

世間が見る目、あるいは履歴書への記入などにおいても、紙の書籍の著者になっているというのは、「世間から一定以上のレベルと認められた人」という印象を与えることができます。電子書籍だけだと、簡単に発表できるだけに、紙の本のような評価を得るのは困難です。社会的によほどのインパクトがある電子書籍ならば別でしょうが。

出版の敷居の低さ

出版の敷居の低さは、圧倒的に電子書籍に軍配が上がります。紙の本の場合、出版社からの商業出版だとまず、出版社のお眼鏡にかない、「利益が出る」と判断されない限り取り合ってすら貰えません。自費出版をしようとしても、少なくとも数十万円、場合によっては数百万円のコストがかかります。自費出版本の場合だと、ほとんど売れませんから、コストの回収もできません。つまり、出版にこぎ着けるという意味でも、コストの意味でも、紙の本の出版は容易ではありません。

これに対し電子書籍は、作って登録するだけ。出版社による内容のチェックもありませんし、アマゾンのKindleであっても、フォーマットが指定通りになっていて、著作権法などでの違反がなければ、基本的に登録・販売を拒否されることはありません。出版のコストも、原稿があればパソコンとインターネット接続があれば、それ以上は何も必要ありません。

電子書籍の場合、ページ数の多寡も問題になりません。紙だとホチキスで留められそうな枚数にしかならなくても、電子書籍の場合には出版・販売することができます。

出版からの利益

自費出版の紙の本は元々利益を度外視したものである場合がほとんどですから、紙の本の商業出版と電子書籍を比べてみましょう。

商業出版の場合、いわゆる印税が著者の収入になりますが、印税の率は売れっ子作家でも本の価格の10%、一般的には4%くらいしか貰えないこともあります。2千円の本に対して良くて200円、低いと80円の利益にしかならないわけです。仮に千冊売れたとしても印税収入は8万円から20万円にしかなりません。

これに対し電子書籍の収入は印税というよりは、売れた本の代金から電子書店に手数料を払うという仕組みなのですが、収入としてはKindle等のサービスを利用した場合で本の価格の40%から70%、自分で販売の仕組みを作ったら100%になります。実際には自分で販売の仕組みを立ち上げるのは敷居が高いですし、宣伝もなかなかできませんから電子書店を使う場合がほとんどになると思います。電子書籍の価格は紙の書籍よりは抑えられるのが普通ですが、仮に500円で販売したとして、売れた時の利益は最低で200円になります。

無論、紙の本にしろ電子書籍にしろ「何冊売れるか」が重要なわけですが、同じように売れると仮定すれば電子書籍の方がコストはかからず利益は大きくなります。さらに、紙の本にはしてもらえないような原稿でも電子書籍になりますから、電子書籍の方が利益を得られる機会がずっと広いと言えると思います。

結論

機会があれば紙の本は一度は作ってみましょう。人生がちょっと変わるかもしれません。でも、量が比較的少ないコンテンツを発表するには、電子書籍が圧倒的に便利かつ、収益化しやすいと思います。

アマゾンで自費出版本を販売する方法

電子書籍ではなく、紙の自費出版本を作る夢は多くの人が持っています。紙の本ができると、感慨は電子書籍の比ではありません。そこに形になったものが存在するわけですから。 そして自費出版本を作ったら、流通させたいと思うのは自然なこと。

大手の出版社では書店流通にのせる自費出版のオプションも用意されていますが、手数料など結構高く付きます。例えば新潮社の自費出版(こちらで確認)。1,850,000円からとなっています。通常手が出る価格ではないですね。

書店流通はしなくても良いので、自費出版本をアマゾンで販売できないか、と考えて調べてみました。書店流通はどっちみち注文があるとは思えないので、考えに入れません。

結論から言えば、書店流通していない自費出版の書籍をアマゾンで販売することは可能です。ただし、ISBN番号の取得は必須で、ISBN番号のない書籍はアマゾンでは販売できません。ISBN番号は日本図書コード管理センターで誰でも取得が可能です。では本の印刷製本はどこで?意外に近くの印刷会社でもやってくれますよ。不安な場合は、自費出版に特化した会社もありますから、検索して見てください。本の原稿はMS Wordでも大丈夫。プロ用の編集ソフトは必要ありません。

以下は、自費出版の本にISBN番号を取得している、という前提で書いています。またAmazon e託販売サービスを利用する場合は、書籍にISBN番号がバーコードとして印刷されている必要があります。 アマゾンで販売するオプションとしては3つあります。1)アマゾン出品(出店)サービスの大口出品、2)アマゾン出品(出店)サービスの小口出品、そして3)Amazon e託販売サービス、です。1)2)は通常マーケットプレイスと呼ばれているサービスです。

1)アマゾン出品(出店)サービスの大口出品

アマゾン出品(出店)サービスの大口出品は月間登録料が4,900円かかるサービスです。一方で、本が売れた時の基本成約料はかかりません。販売手数料は一冊につき、販売価格の10%、そしてカテゴリー成約料が60円かかります。売れた本は自分で購入者へ送付する必要があります。

2)アマゾン出品(出店)サービスの小口出品

アマゾン出品(出店)サービスの小口出品は月間登録料は無料です。一方で本が売れた時の基本成約料が一冊につき100円、販売手数料は一冊につき、販売価格の10%、そしてカテゴリー成約料が60円かかります。つまり、自費出版本が月間に50冊以上売れる見込みがあるのであれば、Amazon大口出品の方が得、ということになります。売れた本は自分で購入者へ送付する必要があります。 さらに、小口出品の場合はアマゾンで販売していない書籍、つまりアマゾンのデータベースにない書籍の販売ができません。

一般的には、書店流通がない書籍の場合にはこのオプションは使えないように思えますが、次に紹介するAmazon e託販売サービスを使えば、自分の自費出版した書籍のISBNをアマゾンに登録することができます。

でもそれであれば、Amazon e託販売サービスを自費出版本の販売ルートとして使えば良いわけで、私は何かの理由で表紙に折れができたような本を中古本として小口出品で出しているだけです。

3)Amazon e託販売サービス

これが自費出版した本をアマゾンで販売する一番おすすめの手段です。私も自費出版本を販売するのにこの手段を使っています。

Amazon e託販売サービスは、アマゾン配送センターに在庫を委託し、商品販売、配送及びサポートをアマゾンが担当するサービスです。Amazon e託販売サービスの年会費は9,000円で、年ごとの更新です。手数料は販売価格の4割です。

Amazon e託販売サービスの場合、購入者に直接本を送るのではなく、アマゾンの倉庫へ商品の本を納入しなければいけませんが、その場合の送料は出品者の負担となります。

Amazon e託販売サービスの大きな利点の一つは、アマゾンが自動的に販売手続きや発送を行ってくれることに加え、商品ページに「在庫あり」表示が出ることです。つまり、潜在的な購入者に、すぐに手に入ることを知らせることができる仕組みです。

自費出版本の場合、印税方式での出版と違い、本の出版費用はすべて著者や出版人が負担し、既に支払われています。出版部数も、せいぜいが数百部と少ないのが通常です。出版部数が少ないですから、月に50冊以上売る、ということはあまり想定されないと思いますから、1)アマゾン出品(出店)サービスの大口出品は、オプションとしては除外されると思います。 あとは、2)アマゾン出品(出店)サービスの小口出品、そして3)Amazon e託販売サービスのどちらかを、「いかにコストをかけずに販売するか」か、「いかに手間をかけずに売るか」のどちらかで販売方法を選択するように思えますが…

Amazon e託販売サービスは、まとめてアマゾンに書籍を送っておけば楽なような気もしますが、在庫数はアマゾンに決定権があり、「100冊まとめて送っておこう」ということはできません。あまり売れない本であれば数冊ずつしか納入が認められず、その場合、購入者へ個々に本を送るのと、手間は大差なくなってしまいます。

次に利益の比較ですが、仮に本の定価を2000円とすると、Amazon e託販売サービスで手元に残るのは1200円。ここから年会費とアマゾンへの送料を負担することになります。一方で、アマゾン出品(出店)サービスの小口出品の場合は、手数料を支払った後に残るのは1640円。ここから購入者への送料を負担します。アマゾン出品(出店)サービスの場合は、送料を購入者負担として別途設定できるかもしれませんが、あまり勧められません。

結局、現実的な選択としては、Amazon e託販売サービスを利用して自費出版本のISBNをアマゾンに登録し、アマゾン出品(出店)サービスの小口出品を併用して様子を見る、ということでしょうか。

もう一つの注意点は、マーケットプレイスの場合、新品の本を売ることができない点です。「新品同様」は可能ですが、自費出版の新品の本を「新品」として出品できないのは、ちょっと気分が悪いですね。

パブー(Puboo)の「外部ストア連携機能」

Puboo でも電子書籍を販売していますが、悩みはあまり売れないことと、売れても販売手数料が高いこと。このため、どちらかと言えば放置してあったのですが、Puboo が発表した新機能はちょっと魅力です。

それは、「外部ストア連携機能」といい、第一弾として楽天KOBOの書店で、Pubooに登録してある本が自動的に販売できる、というもの。PubooとKOBOではメジャー感が随分違いますから、早速この機能を設定しました。設定と言っても、チェックボックスをクリックするだけですが。

実はPubooからの連絡メールにもろくに目を通していなかったので、この機能のリリースも知らずにいました。たまたま日本人で電子ブックを自己出版している人の記事を見つけて、興味を持って読んでいたら書いてありました。参考になりますね。

出版社からの執筆依頼

その次は書店の方から「こんな内容で書き下ろしの本を書いてみないか」というお誘いを受けましたが、それは上記の著書や訳本の実績に加えて、とあるメーリングリストでの発言を目にとめてのことだったと思います。

この出版社は私が学生の頃から慣れ親しんだ多くの専門書や教科書なども出しているところでしたので、自分がそこから本を出すことになった、ということに相当の感慨を覚えました。この時は2千部で、印税は4%、2千部全部の分を出版時に前払い、という契約です。

さらに次に共著書を企画して出しましたが、これもどちらかと言えば専門書、執筆陣の一人が関連する書籍を出している出版社に話を持ち込んだところ、興味をもたれてそこから出版することに。

複数の人との共著を出す、というのは、クオリティーの確保などの点で難しい面もありますが、出版社探しとか販売の面では有利になりますからお勧めです。

他にも翻訳書を出していますし、一冊監修している本もあります。これらはどちらも以前出したことがある書店からです。

こう書くと順調なようにも思えますが、実は2冊目を出した書店から再度依頼があって、一冊分の原稿を書いたものの、気に入っていただけなくて、出版されなかったこともあります。その原稿は仕方がないのでWEBに掲載していますが、もちろん一銭にもならなかったわけです。

出版社への持ち込み原稿

自分の本を出そうというときに難しいのが出版社選び。いや、出版社のほうが選ぶのかもしれませんが。原稿を持ち込んでも断られた、という話も良く聞きますし、私の知人には良くて印税なし、あるいは一部自己負担での出版を勧められた人もいます。

これ、つまりは出版社の方で「この本はあまり売れん」とよんでいるわけです。要は金を出してまで買う原稿ではない、ということですね。それでも出版してもらえる、というのなら「万が一」ということはあるレベル、なのでしょう。

私の場合どうしたか、というと、最初に出した単行本は仕事関係の本を出したことのある義理の妹が、出版社に私の原稿(このときはまだ本の体裁になっていなかった)を持ち込み、それが目にとまって出版する運びとなりました。タンザニアの話を書いた本です。

このときは出版社が気に入ってくれて、あれよあれよと言う間に話が進み、良いデザイナーさんを付けてくれたり、初の出版としては異例の5千部も刷ってくれたり、いきなり10%の印税をくれたりと、とてもラッキーでした。結果としては出版から何年もたつのに半分近くが在庫のまま、というのが申し訳ないところです。

次に出したのはイギリス人の書いた本の翻訳本ですが、同じ著者の訳本を以前出したことがある出版社に連絡したら「ぜひ出したい」ということで決まり。これは著者自身が印税を放棄している本でもあり、翻訳料もなしで出しました。無論経費的には持ち出しですが、評価が高い(とは言っても専門書なので普通の人には縁がありませんが)本を訳した、というのは、私の実績になるわけです。