源泉徴収票と支払調書とは

印税や原稿料を支払った場合、著者に発行する税務書類を源泉徴収票と勘違いされている方が結構多いですが、印税や原稿料など、給与所得でない支払いに対して発行する書類は支払調書、正確には「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」で、源泉徴収票ではありません。

源泉徴収票は、雇用関係にある人に対して給与を支払い、給与所得分からの源泉徴収を行った場合に渡すものです。

支払調書がどのようなものであるかは、詳しくは国税庁のサイトを参照してください。支払調書の用紙そのものは、最寄の税務署に行けばもらえます。

支払調書の税務署への提出

支払調書は、印税や原稿料を支払った翌年の1月いっぱいを目処に、税務署に提出します。印税や原稿料からの源泉徴収分の所得税を納付した場合はもちろん、海外在住者への支払いなどで、源泉徴収の必要がない場合にも、税務署に対しては支払調書の提出を行います。

支払調書の執筆者への送付

執筆者が日本国内在住者など、印税や原稿料から源泉徴収を行った場合にのみ、本人宛に印税や原稿料を支払った翌年の1月いっぱいを目処に、支払調書を一部送付します。執筆者はこの支払調書を確定申告のときに使用します。

印税や原稿料の税金、源泉徴収、確定申告

印税や原稿料の税金はどうなるのか?多くの場合、出版社からあらかじめ印税や原稿料から源泉徴収分として10%が差し引かれて支払われます。(1回の原稿料支払が100万円以下の場合は10%、100万円を超える部分は20%が源泉徴収。)

申告の時期までに、出版社から納税したことを示す支払調書(源泉徴収票とは違う伝票のようなもの)が送られてきます。これを集計して、印税や原稿料収入がいくらあるか、税金としてあらかじめ引かれたものがいくらあるかを計算して、確定申告の時に用います。

確定申告では、印税や原稿料収入は、別に給与所得がある人なら雑所得として他の収入と通算します。印税や原稿料収入が主な収入源で、ある程度まとまった額の収入があると、税務署の方で事業収入とみなされてしまうこともあります。「これで飯を食おう」と思う人は、事業にするつもりで考えた方が良いかと思います。

もちろん、源泉徴収をされている分に関しては、申告の必要はありません。またこの雑所得、合計20万円以下なら給与生活者は申告しなくても良いことになっています。

では面倒だから確定申告せずに置くか?ちょっと待ってください。

多くの場合源泉徴収で税金10%は既に引かれています。あなたは所得税として10%以上払う必要がありますか?もし必要がなければ、20万円以下でも、確定申告した方がひょっとすると、源泉徴収分としてあらかじめ納税した10%のうちいくらかが戻ってくる可能性もあります。

また給与生活者でなく、100万円とかの印税、原稿料収入があるのならば、10万円源泉徴収として取られているわけですが、確定申告すると返ってくる可能性が大です。もちろん既に高額所得者である場合には、源泉徴収でおしまいにしておいた方がよいこともありますので、そのあたりは計算してください。