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支払調書とは-支払調書と源泉徴収

支払調書とは

印税や原稿料を支払った場合、著者に発行する税務書類を源泉徴収票と勘違いされている方が結構多いですが、印税や原稿料など、給与所得でない支払いに対して発行する書類は支払調書、一般的には「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」で、源泉徴収票ではありません。支払調書にはこれ以外にも「不動産の使用料等の支払調書」を始め各種ありますが、以下で言う「支払調書」は「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を前提として記載しています。

源泉徴収票は、雇用関係にある人に対して給与を支払い、給与所得分からの源泉徴収を行った場合に渡すものです。支払調書は給与所得ではない所得、一般的に個人の場合には雑所得にあたる所得に対して源泉徴収を行った後に作成し、渡すものです。(なお、著述業のようなそれで生計を立てている人の場合には、雑所得ではなく事業所得扱いになる可能性もあります。)

支払調書がどのようなものであるかは、詳しくは国税庁のサイトを参照してください。支払調書の用紙そのものは、最寄の税務署に行けばもらえます。国税庁のサイトからPDFファイルで支払調書をダウンロードすることもできます。プリントアウトすればすぐに使用できます。また、ワープロなどで同じようなものを作成してもかまいません。大勢の人に支払調書を渡す必要がある場合には、支払調書作成に対応した会計ソフトを導入する方が手間がかからないでしょう。

ちなみに当社の場合は、Excelで1年分の資料を作成し、それを会計事務所にお渡しして作成してもらっています。

平成28年(2016年)からは、支払調書作成のためにマイナンバーを記入する必要がありますのでご注意ください。

なお支払先が法人であっても、所得税法の規定により、支払対象が「弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金」に該当する場合には、源泉徴収の有無にかかわらず支払調書作成と提出の義務が生じます。行政書士は含まれません。

源泉徴収とは

給与所得以外で労働などの対価を支払う場合、具体的には著者に対する印税や原稿料、講師や講演者に対する講演料、ミュージシャンに対する演奏料、こうしたものを現金で支払う場合には、個人が支払う場合であっても、厳密には所得税をあらかじめ支払い金額から差し引く、つまり源泉徴収を行い、支払者が納税を行う義務を負います。この時にいくら支払い、いくら源泉徴収を行ったかを証明する書類が支払調書だと考えてください。

ちなみに、謝礼を図書券などでお渡しする場合があります。税理士さんに伺ったところ、このように現金以外で謝礼としてお渡しする場合は、支払う側は「交際費」で処理するのが一般的だそうです。この場合、源泉徴収も行いませんし、支払調書も作成しません。

支払調書の税務署への提出

支払調書は、印税や原稿料などの報酬を支払った翌年の1月いっぱいを目処に、税務署に提出します。印税や原稿料からの源泉徴収分の所得税を納付した場合はもちろん、海外在住者への支払いなどで、源泉徴収の必要がない場合にも、税務署に対しては支払調書の提出を行います。

ただし、原稿料や印税であれば「一人に1年間に支払った合計額が5万円を超える場合」にのみ支払調書を作成、提出する義務が生じますが、それ以下であれば、そもそも支払調書を作る必要もありません。

支払調書の執筆者への送付

執筆者など報酬を受け取る人が日本国内在住者など、印税や原稿料から源泉徴収を行った場合にのみ、本人宛に印税や原稿料を支払った翌年の1月いっぱいを目処に、支払調書を一部送付します。執筆者など支払調書を受け取った人は、この支払調書を確定申告のときに使用します。

ただし、支払調書の執筆者への送付は任意であり、本来義務ではありません。執筆者が確定申告に支払調書を添付することも法的には不要です。ただ、慣習として行われているだけです。