日本国内の買い手が日本国内の個人に原稿料を支払う場合

まず注意が必要なのは消費税の扱いです。原稿料などを支払う場合には、消費税を加算して支払わなければなりません。これは個人に支払う場合でも同様、常に消費税はかかると考えてください。

国内在住の個人に対して原稿料を支払う場合には、1回の支払額が100万円以下の場合、原稿料の10%をあらかじめ源泉徴収してから支払う必要があります。源泉徴収の対象となるのは、消費税額が明示されていない場合は消費税を含めた全額が、消費税が明示されている場合には消費税を除いた額が対象となります。

一般的には原稿料に消費税額が明示されることは稀ですから、総額を使って源泉徴収額を計算することになります。

例えば消費税込みの原稿料が1万円である場合、その10%の千円をあらかじめ所得税の源泉徴収分として天引きし、9千円を支払います。千円は預かった所得税ですから、支払う側が個人であっても、税務署に申告して納税する必要があります。納税しないと着服したことになります。

1回の支払が100万円を超える場合は、100万円に関しては10%の10万円、100万円を超える部分には20%の源泉徴収となります。ただし、分割して1回の支払いを100万円以下に抑えれば、常に10%の税率です。

源泉徴収して預かった所得税は、原稿料を支払った翌月に納付する必要があります。企業などで、預かった所得税の納付を半年に一度にしているところでも、原稿料からの源泉徴収は、毎月行わなければなりません。結構面倒です。

さらに原稿の書き手に対しては、原稿料を支払った翌年1月中を目処に、支払い金額と源泉徴収税額を明記した「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」(以下、支払調書)を送付する必要があります。またこの支払調書は、原稿の買い手が翌年1月31日までに税務署に提出する必要があります。詳しくは国税庁のサイトを参照してください。支払調書は、給与所得などが発生する時に用いる源泉徴収票とは違います。

支払調書には原稿料を受け取る方の住所・氏名を明記する必要がありますので、匿名での原稿のやり取りはできません。